介護ロボットの導入は進んでいる?介護ロボットが介護士に与える影響と考察

介護の仕事は肉体的、精神的に過酷な仕事と言われています。

中でも介助が必要な高齢者を車椅子へ移乗したりする時に腰を痛める人も多いでしょう。いわゆる職業病というやつですね。

今後高齢化社会が益々加速していく一方で、腰を痛めてしまったり体力に限界を感じ離職する人が後を立ちません。

その負担を軽減させる為に、国は介護ロボットの導入を検討してきました。

では、現在介護ロボットは現場に導入され活かされているのか。また、それに伴う介護士の影響はどのようになっているのか紹介していきます。

介護ロボット導入されている?

高齢化社会を見据えて国は介護ロボットの導入に関して政策を進めています。

しかし費用もかかりますし、ロボット開発にはまだまだ課題が多い為、福祉事業所も高額な為、安易に導入するわけにもいきません。

そこで全国各地自治体が「介護ロボット支援事業」を設置しています。

これは施設等で介護ロボットを導入しようと検討している所に補助金、助成金を出す支援事業所です。

これは自治体によって異なりますが、1つのロボットに対して10万~30万となります(これよりも安い自治体もある)こういう活動を行い介護ロボットを全国に普及させようとしていますが、なかなか普及には繋がりません。それはどうしてか。

各福祉事業所は介護保険料で運営しています。

介護保険料は介護度で料金も変わってきますが、上限があり、利益を産むのが難しいです。

そこに施設運営費や人件費がくわわると介護ロボットを導入する費用も難しくなっているのです。

ただでさえ職員の給料は他の仕事と比べて安いとされていますので、そこに費用を当てるのであれば給料を上げて職員の離職を防いだ方が良いとされている事業所もまだまだ多いです。

介護ロボットが与える影響について

介護ロボットだけ聞くとロボットが何でもやってくれる?と思う人がいるかもしれませんね。

しかし、実際はそこまでは至っていません。あくまでも介護士のサポートとなります。

サポートですので、身体的に介護士は楽になるはずです。

では、どのような介護ロボットがあるのか。

移乗支援型

ベットから車椅子へ、車椅子からベットへと移乗する際に使用するロボットです。

おおまかに分けて2種類あり、介護される側に装着する場合と、介護する側が装着する場合の2つです。

介護される側の場合ですと、車椅子からベットに移る際に、車椅子の前にロボットを置き、それに掴まる事で自然に立ち上がりや体を回転させるサポートをします。

介護側が装着する場合、腰や腕に装着します。本来力を入れなくてはいけない動作、腰をかがめる動作を軽減させてくれますので、力をさほど使わずに高齢者を移乗させる事が出来ます。

コミュニケーションロボット

人とのコミュニケーションが出来るロボットです。

ある程度簡単な会話が出来る為、認知症の高齢者であったり、独居で話し相手がいな高齢者の心理的負担を軽減してくれるロボットになっています。

代表的なロボットといえば、「ペッパー君」等ですね。

センサーつきロボット

これに関してはある程度介護の現場にも導入されてるかもしれません。

ユニット型の介護施設は個室が多いので、職員が全員に目を配るのが難しい場合があります。

ましてや夜間等の職員が少ない状態ですと、高齢者の方が立ち上がって歩くというのが見守り出来ずに転倒する事故が多いです。

センサーつきロボットはベットで寝ている高齢者が起きる為に体を起こしたり、足が床についた時に介護士へと知らせるセンサーの事です。

これのおかげで誰が動いたかを介護士が察知し、すぐに現場にかけつけられるようになっています。

ここで紹介した3つ以外にも様々な種類のロボットが開発、研究されています。近い将来たくさんの施設で導入されるようになるかもしれません。

介護ロボットへの介護士の本音

介護ロボットが導入されれば介護士の負担の軽減にも繋がるのでいち早く導入出来ればいいとは思います。

しかし、導入するにはまだまだデメリットが多すぎです。

例えば車椅子からベットへと移乗する際に介護側がロボットを装着したとします。

しかし、装着するまでに時間がかかりますし、外すのにも時間がかかります。

高齢者を移乗しただけで終わりではありません。
車椅子へ移乗したのなら足を車椅子のフットレストに乗せる介助もしますし、体が傾いていたら体勢を整えます。

車椅子を押す場合もあります。

その一連の動作をスムーズに行えない場合、何十人といる高齢者の介助を終わらせるのには時間がかかり過ぎます。

また、介護の仕事内容で大変なのは移乗介助や排泄介助ではありません。

1番大変なのは高齢者とのコミュニケーションや認知症の対応です。

この分野においてはロボットでは替えが効かない部分が多いです。

相手は人間なので、ロボットでは感情やその場その場の対応では間に合わない事が多いでしょう。

そういった観念からも現場に導入する事業所も少ないのかもしれません。

介護ロボットに関する考察のまとめ

介護ロボット事業はまだまだ発展途上です。

高齢者や介護のニーズにどこまで応えることが出来るのかが今後の課題になっていくでしょう。