介護士の仕事内容は?キツイ?大変?

介護職ってきつい、大変、給料安い・・・。そんな言葉、まだ気になりますか?

心身に不自由さを抱えたお年寄りの介護をするわけですから、確かにそんな見方もできます。
でも今の、そしてこれからの介護職って決してそんな悲観的なことばかりではないんです。

この記事では、今の介護職の現状や、これからの立場などの説明をしていきます。介護職として働いてくださる人が一人でも増えてくださることを期待しています。

介護職員を取り巻く社会状況

はじめに介護に従事する職員の現状について見ていきたいと思います。

介護職員ってどれくらいいる?

全国で介護職員ってどれくらいいるのでしょうか。
厚生労働省によると、2016年度は約190万人の実績があるとの調査結果があります。

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では、この人数がどういう数字なのでしょうか?
同じ厚労省の推計では、2025年度で必要とされる介護職員の数は約245万人。
現時点ですでに55万人のギャップ。

ここから近年の介護職員の入職・離職の割合で推計しても211万人しか確保できないとされ、このままでは34万人は不足するという計算になります。

これに対して国や地方自治体をはじめ、各種団体、事業所自らも様々な取り組みで介護職員確保の取り組みを行っているのが現状です。

介護職員の仕事内容

介護の資格がなくても仕事はできる

ここからは、介護職員のリアルな仕事内容に迫っていきます。

まずは資格。
介護業界で働くにあたってどうしても必要な資格というものはありません。
資格がなくても介護にかかわる仕事はできます。

しかし、携われる業務に制限がつくため、介護業界でキャリアアップしていくためには資格取得を目指す必要はあるでしょう。

また、介護の仕事の対象となるのが心身に何らかの不自由さを抱えた高齢者の方々であることを考えれば、ある一定の知識やスキルを持っているほうが好ましいことは当然のことだと言えます。

介護職員の所持する資格としては、実務者研修、初任者研修、介護福祉士などがあります。
介護業界で働くにあたっては、まず初めに初任者研修を目指すのが良いでしょう。
介護職員初任者研修を受講しているかどうかで関われる業務範囲は大きく違ってきますので、介護業界で働き始めたら、初任者研修の勉強を始めるケースが多いです。
初任者研修では介護の基礎をしっかり身につけるための介護の入門的な位置づけとなります。

その後、実務者研修、介護福祉士とキャリアアップしていくことも可能です。

認知症や心身の障害、医療的視点や介護技術までを一定程度習得し活躍しているのが、「介護福祉士」です。

「介護福祉士」は国家資格であり、一定期間の実務経験(3年)を経たりしたうえでさらに、国家試験に合格しなければ取得することができません。

中には社会福祉士や社会福祉主事任用資格など、ソーシャルワーク系の資格を所持しな
がら、現場の職員として働く方々も多いです。

介護の仕事は無資格でもできると言いましたが、資格を持っていれば手当などで優遇されたり、賞与や昇給に反映させたりする法人や企業も多いです。

長い目で自分のキャリアを考えるなら、資格取得をしっかり検討したほうが良いかもしれません。

また、事業者側からしても、介護報酬における加算算定において資格者の有無は大きな要件です。特に介護福祉士資格所持者は是が非でもほしい人材ですね。つまり資格を持っていれば、転職においても大きく有利な条件となるのです。

介護職の仕事は介護だけじゃない?

ここからは、介護職の実際の仕事内容についてです。

介護の仕事といえばどんなことを思い浮かべますか?
食事介助?おむつ交換?入浴介助?そうですね。これらは「三大介護」と言われていたもので、昔の介護職はこれだけできればOKとされていました。

これらは確かに今も大切な仕事です。

ただし、少し厳しい言い方かもしれませんが、これらは介護職ならできて当たり前のことなんです。
高齢者の生活を支えるのが介護職の仕事ですから、その根本である身体介護を担うのは当然だからです。

では今、介護職に求められていることは、このほかにどんなことがあるのでしょうか。
それは「人生支援」と「予防活動」の考え方です。ちょっと難しいですかね。

認知症の高齢者支援の仕事

現在、要介護となる原因の第一位は、「認知症」です。
ひと昔前、認知症は「痴呆(ちほう)」と呼ばれ、「ボケ老人」という代名詞のもと、何もできなくなって人生の終わり、と考えられていました。

ところが、認知症の高齢者にもできることや残っている機能がたくさんあることが理解されてくるようになり、現在では、これまでの人生を尊重し、これからも住み慣れた家や地域で、その人らしく暮らしていただくための取り組みが重要視されてくるようになりました。この考え方の中心となるのが介護職なのです。

要介護高齢者を支える職種はたくさんありますが、最も身近で直接触れ合い、その方をよく知っている存在は介護職です。

その人の暮らし方や人生観、こだわりや趣味嗜好などを大切にし、できることを活かしながら暮らしを支えるのが介護職の大きな役割となってきました。これは介護職にとって大きなやりがいになっていると思います。

介護予防

もう一つの大きな仕事は「予防活動」、いわゆる「介護予防」です。

介護職は「介護が必要になった人のお世話」だけが仕事だと考えがちですが、現在は介護にならないようにするための取り組みも、一般の介護職が担うようになっています。

行政が行う「予防サロン」「体操教室」といった取り組み以外にも、多くの事業所が独自に予防活動を行っています。人生100年時代に向けて、介護の事業所も介護にならないための取り組みに力を入れているのです。もちろん、先端を担うのは介護職ですね。

これからの介護職員

介護士の待遇改善

介護職は「給料が安い」職種の代表格でしたが、現在はそうではありません。

もちろん、介護報酬で運営される事業ですから、儲けるだけ儲けるというわけにはいきませんが、現在は国も人材確保に躍起になっており、介護報酬上の加算という形で待遇アップは確実に進んでいます。

さらに今年度には、長年介護職として勤続している人に対するさらなる待遇アップのための報酬改定(加算)が予定されています。

もちろん、ある程度の期間、同じ法人や事業所で続けて働く必要はあります。
介護事業所で働いていると他の事業所が良く見えるのはありがちなこと。
しかし、本当に良い事業所かどうかは自分が今所属している事業所で自分の力を培ってからでないと判断できません。

離職率も高い介護職ですが、やめてもまた介護職に転職するという人が多いと聞きます。
つまり、介護が嫌になったわけではないのですね。

それなら、転職のたび給料が一からに戻ってしまうのなら、今働いている事業所でどう力を発揮するかということに注力してもよいのかもしれません。
通常の介護事業所でしたら、少なからず昇給や手当アップはしていくでしょうから。

外国人

介護業界の人材不足を解消するため、外国人を活用する取り組みもあります。
技能実習生や留学生など複数の制度がありますが、いずれにせよ、国の方向性がそちらを向いたことがあることは事実です。
つまり介護の業界で今後も働いていけば、外国人が自分の同僚として働く日が来る可能性はあります。
介護職がしなければならないことは、外国人に介護ができるはずないと拒絶することではなく、共に働いていくことになった場合、どのような体制を構築していけばいいのかを考えることなのです。

介護士の仕事・労働環境は良い方に変わりつつある

介護職は実際のところ、以前のような暗く厳しいイメージの仕事ではありません。
大変さや苦労はどんな仕事でもあること。
しかし、介護職にはほかの仕事にはないやりがいがあります。
その最たるは感謝されることの喜びです。感謝を直接感じながら仕事ができることです。
この記事で少しでも介護の仕事に興味を持ってくださると幸いです。

なお、介護への転職を具体的に考えているケースでは介護職に強い転職エージェントに相談することでいろいろ情報を得ることも可能なので利用を検討してみても良いでしょう。