訪問介護の転職で気をつけることは?

訪問介護は、介護が必要な高齢者の自宅などを訪問し身体介護や生活援助を行う介護保険のサービスです。
ホームヘルパーという名称は一般の方にも広く知れ渡っており、独居高齢者や老々世帯など高齢化社会を支える重要な仕事になっています。

一方で、事業所によって働き方や待遇は様々で中にはブラック企業なんて言われるような事業所がない訳ではありません。
訪問介護の転職ではどのような点に気を付ければよいのでしょうか。

訪問介護事業所の実態

訪問介護は全国に3万を超える事業所があり、その7割は営利法人が運営しています。

訪問介護の利用者の6割が要介護2以下と比較的介護度が軽い方を支えるサービスになっています。

訪問介護では、毎月100万人以上の高齢者がサービスを利用しており、それぞれの自宅に訪問する以外にも住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に併設した事業所も多く見られます。

訪問介護で働く職種

訪問介護で働くためには、介護職員初任者研修(旧:ホームヘルパー2級)以上の資格が必要です。

訪問介護では、訪問介護員(ホームヘルパー)として働く以外にもサービス提供責任者と呼ばれる職種が働いています。

サービス提供責任者は事業所の管理的役割を担い、介護計画を作成したり、家族・ケアマネジャーなど外部との連絡調整をしたりする役割です。

訪問介護員からサービス提供責任者として、ステップアップを目指す働き方も可能です。

訪問介護事業所での働き方

正社員としてフルタイムで働く以外にもパート社員や登録ヘルパーとして働く方法があります。

登録ヘルパーとは働きたい時間帯を登録して働く方法で、短時間や特定の時間だけ働くという方法が出来ることが訪問介護の魅力のひとつです。

訪問介護は事業所によって待遇が異なります

訪問介護に限らずですが、同じ訪問介護員(ホームヘルパー)であっても事業所によって待遇が異なります。
求人を見る際にはどのような点に注意をすればよいのでしょうか。

時給だけではなく手当を確認する

登録ヘルパーで働く場合には、時給だけではなく手当も確認をするようにしましょう。
事業所によっては、休日や夜間帯の割増しがある場合もあります。

その他にも、遠方に訪問に行く場合に事業所の車両を利用するのかヘルパーの車を借り上げるのかも大事なポイントです。

また、介護職員処遇改善加算を算定している事業所であれば、手当てや賞与、年に何回かに分けて配分するなど様々な事業所があるので求人票などで確認をしましょう。

身体介護と生活援助の時給に違いがあるか

訪問介護では、身体介護と生活援助という2つのサービスが提供されます。
一般的には身体介護の時給が高く設定されていますが、事業所によっては同一の場合もあります。

転職先の訪問介護事業所では福利厚生やボーナスがあるか

大手の法人では、給与だけではなく様々な福利厚生を用意している場合があります。
慶弔費の支給や、余暇(旅行や外食)の補助などプラスアルファの魅力がある事業所もあります。
ボーナスの有無なども、年間の収入で見ると大きく影響します。

勤務時間に融通が利くか

訪問介護では、子育て世代やご自分の家族を介護しながら働くヘルパーも多くいます。
勤務時間に融通が利くかどうかは仕事を探すうえで重要なポイントです。

常に求人が出ている訪問介護事業所は内情を良く調べること

残念ながら介護施設の中には、ブラック企業と言われるような施設が無い訳ではありません。
必ずしもそうとは言えませんが、一つの目安として常に求人が出ている事業所は要注意な可能性があります。

職員の定着率は、厚生労働省が公表している「介護サービス情報公表システム」を通じて見ることも可能です。
こうしたところで情報収集をしたり、介護専門の転職サービス等を活用してしっかり情報収集を行いましょう。

訪問介護で働くメリット・デメリット

訪問介護で働くメリット・デメリットはどのような点でしょうか。

柔軟な働き方が可能

訪問介護では、短時間から働くことが出来る事業所も数多くあります。

子育てをしながら空いている時間に働く事や、本業を持ちながらダブルワークとして働く方も大勢います。
ライフスタイルに合わせた働き方が出来る点は、訪問介護の大きなメリットです。

職員同士の人間関係で悩まなくてもよい

訪問介護では原則としてヘルパーが1人で利用者の自宅へ訪問に行きます。
他の介護施設のように職員同士の人間関係で悩むことは少ない職場です。

介護職の離職の原因は人間関係が最も多いと言われ、職員間の人間関係が比較的少ないことは訪問介護へと転職することのメリットと言えます。

訪問介護は長期間働ける職場

訪問介護で働く職員の85%は女性で、平均年齢は50代中盤、60歳以上のヘルパーが約4割と言われています。
体力に合わせた働き方が出来る点はヘルパーのメリットと言えます。

訪問介護は1人での訪問が原則

訪問介護では原則として1人で訪問をします。
慣れないうちは1人での訪問に、不安を持つことがあるかもしれません。

また、何かあった場合にも1人で対応しなくてはいけません。
1人で働くことは、人間関係等のメリットもある反面、慣れるまでそのような働き方はデメリットと感じることもあるかもしれません。

ただ、一定の経験があり、慣れてくれば問題ないケースが多いです。

セクハラやパワハラの問題

訪問介護で働く人の半数が、利用者や家族からセクハラやパワハラを受けたことがあるという調査がありました。

1人で自宅に伺う訪問介護では、要介護者とはいえ異性の場合もあり怖い思いをすることが無い訳ではありません。

そのような面は訪問介護のデメリットのひとつと言えます。
何かあった場合には、事業所の責任者や管理者に相談をするようにしましょう。

訪問介護への転職は求職者側が有利な状況

介護業界に限りませんが、現在転職市場は超売り手市場が続いており、特に資格が必要となる訪問介護はより転職者有利な状況が続いています。

そのため、バリバリ仕事をしたいという方はもちろんのこと、あなたの現在のご都合に合わせた勤務時間・勤務スタイルを制限して働きたいという方の需要もたくさんあり、比較的希望が叶えやすい転職市況となっています。

訪問介護は高齢化社会を支える大事な仕事で、高年齢になっても働き続けることが出来るので元気なシニアにも人気のある職種になっています。

また、訪問介護をきっかけに他の資格へのステップアップや他の介護施設に異動する方も大勢いる職種です。

一対一で高齢者と接して、直接感謝をされる訪問介護はとてもやりがいのある仕事と言えます。

この機会に訪問介護への転職を視野に入れてみてはいかがでしょうか。

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